陽炎(かげろう)

2022.08.13~

 

誰もいない空間(道場)に、

 

僕は、人々の『陽炎』をみる。

 

積み上げられた『稽古(記憶)』が

 

僕に魅せるものとは

 

僕は…ひょっとして物凄い…『大馬鹿』…!?

 

誰もいない空間に、人々の『陽炎』を僕は見る。

 

「誰もいない空間なのに、何故?もしかして…怪奇現象…!!!」

 

いや違う。

 

「…『お前』が『大馬鹿』なだけ!!!」

 

『あいつ』にしっかりと僕はツッコミを入れられた。

 

 

そう、多分、其処で僕が陽炎を見ることが出来たのは、僕に積み上げられた『稽古』という名の記憶が在ったこと。

 

それから、僕が他人よりも、かなり…

 

あるときは『短気』で

またあるときは物凄い『神経質』で

 

あること。だからなのだろう。

 

『稽古』に於いて、僕が、

 

言われてきた事

やってきた事(実行してきた事)

やられてきた事(端的に解り易く言えば、僕が、『稽古』でボコボコにされてきた事)

他にもあるのかもしれないが

 

これらを、記憶として、僕が僕の魂(心:こころ)に刻み付けていること。このような、僕の日常の習慣に加えて、

 

僕自身の個性として、僕が…先にも述べたが…

 

あるときは『短気』で

またあるときは物凄い『神経質』で

 

僕の、習慣と個性が、相重なって、僕は、誰もいない空間に、人々の『陽炎』を見た。

 

多分…僕の個性も、そうだし、また、僕の習慣も行き過ぎているのだろう。『あいつ』が言い放った

 

『大馬鹿』

 

という僕の表現は、ある意味では正鵠(せいこく)を得ている。それだけに、僕は個人的に、なんか悔しい。

 

今回する、お話(物語)は、僕が、『大馬鹿』であること。

 

より、具体的には、僕が物凄い『神経質』であることに起因する。

 

物凄い『神経質』とは…(あなたもそうだとするなら…僕は普通な人なのだが)

 

僕が、物凄い『神経質』であるとは、どういうことなのか…これからする具体的ないくつかの事例に、

 

あなたが共感するのなら、僕は晴れて

 

『普通!!!』

 

の称号を得られるのだが…

 

 

 

よく、これから車で出かける、車のエンジンをかけて、いよいよ出発!!!しようとした、その直前に…

 

「…あれ…玄関ドアのカギを掛けたっけ?」

 

とか

 

「あっ…財布…忘れた!!!」

 

とか

 

「(これから『(柔道の)稽古』に行くのに…)あっ…帯を忘れた…」

 

これらの事例に対して、僕の場合は、

 

「(確認しに玄関に戻って)…なんだ…ちゃんとカギを掛けているじゃん…」

 

とか

 

「(自分のポケットの中を手探りで探し)…なんだ…ちゃんと財布を持っているじゃん…」

 

となり、そして、車の後部座席に、放り込まれている鞄の中身を確認し

 

「…なんだ…ちゃんと黒帯…入れてあるじゃん…」

 

となる。これらの確認作業を経て、改めて自分が準備万端であったことを再確認する。これが、僕の主張する

 

『物凄い神経質』

 

というものである。ここまでなら、まだ、共感できる人がいるのかもしれない。

 

ちなみに、今回のお話に関係する物凄い『神経質』な部分とは、以下のようになる。

 

 

 

 

その日、僕の様々な予定が書きこんである手帳を、僕は確認をしていた。

 

「…そうだよな…今日はお盆休みで…『稽古』は…無い…よな…」

 

という感じで手帳を見つめる。先ず、手帳上で、僕の予定を確認する。今日の…稽古は無いようだ…。念のため…

 

クラブのホームページにアクセスし、その稽古の予定表を確認する。やはり…

 

「やはり…今日の稽古は無い…」

 

しかし…このような僕の魂(心)の働きに対して、『あいつ』がニタニタ笑いながら、僕にツッコミを入れる。

 

 

「え~!!!本当に稽古が無いのかな…?」

 

「はっ?」

 

いつもの事だが、『あいつ』の言う事、放つ言葉は、気が利きすぎている。

 

「お前が見ているものは『幻影』で、お前が生きている世界も『幻影』で、パラレルワールド…『本当の』…『真実の世界』では皆が『稽古』をしているのかもよ…」

 

「…」

 

「どうする…?」

 

理由は解らないが、『あいつ』の放つ、気が利きすぎている物言いに、どうしても僕はムカムカしてきた。

 

それが、僕の顔にも現れているのだろう。そう感じながら…ムカムカした顔をあいつに見せながら…

 

「取り敢えず…武道館へ向かう!!!」

 

と僕は宣言をする。改めて、あいつは僕を見てニタニタ笑う。

 

僕は、手帳で、その日の予定を確認している。今日の(その日の)稽古は無い。

 

クラブのホームページ上に、公開している予定表でも、僕は確認をしている。今日の(その日の)稽古は無い。

 

にも拘わらず…僕は、その日、いつものように稽古に必要な身支度と準備をして、勿論、柔道着も鞄に入れて、

 

いつもの稽古の場所の武道館へ、車で向かった。

 

 

やはり…僕は

 

『物凄い神経質』

 

になるのだろう。

 

『陽炎』を通した…

 

家から、車を走らせて…だいたい20分位で武道館へは着く。このときも、20分程で、僕は、武道館へ着いた。

 

いつも車を停める、その駐車場へ車を滑り込ませる。武道館へ到着した時間帯もあるのだろう。

 

外は、いよいよ夕闇に包まれて、闇の勢いがこれから益していく時間帯。一方で、武道館の中は光が灯っていた。

 

相対的な関係性に於いて、武道館の中の、いつも稽古をしている柔道場が、武道館の外の駐車場の車の中からよく見えた。

 

ここでの関係性は、僕はお客で、僕が客席から、演者たちのいる光に照らされている舞台の上を見つめている。

 

そんな関係性にも似ていた。

 

お客が舞台上の演者を見つめる…この関係性と違う部分は…

 

幸か…不幸か…いや…幸いなのだろうけれど…

 

光に照らし出された舞台、いつもの稽古の場所、僕が駐車場から見つめていた武道館の中の柔道場には、

 

勿論、誰もいなかった。

 

車のエンジンをつけたまま、駐車場の車の中から、誰もいない武道館の中の柔道場を、僕は、見つめ続けた。

 

20分位してから、僕は『独り』呟いた。

 

「やはり…『現実』に…生きているか…」

 

徐に車のエンジンを僕は切った。そして、僕は宣言をした。

 

「(武道館の中の)ロビーに行く!!!」

 

 僕は武道館の中へ入った。ロビーへ行き、設置されている自販機で『缶コーヒー』を購入する。

 

忘れている人もいるので、何故、わざわざ僕が

 

『缶コーヒー』

 

と表現しているのかというと、僕にとっての『缶コーヒー』は

 

『心(魂)のオアシス!!!(公園のベンチなどに座り缶コーヒーをチビチビ啜ることが…)』

 

だからなのである。

 

購入した『缶コーヒー』を片手に、ゆっくりとロビーに設置してあるベンチに歩み寄る。

 

そして、ゆっくりとベンチに腰を下ろし、ゆっくりと『缶コーヒー』を啜り始める。

 

僕は、ロビーに設置されているベンチに座り、『缶コーヒー』を啜りながら、誰もいない柔道場の方を見つめ続けた。

 

僕は、ゆっくりと『缶コーヒー』を啜っていたはずなのに、いつの間にか『缶コーヒー』は、底をついていた。

 

 

僕は、立ち上がり、空になった缶コーヒーを手にし、自販機の隣に設置されている専用のごみ箱の中へと放り込んだ。

 

そのまま、僕は歩みを進めた。

 

今度は、舞台の袖から、より近くから、舞台である、舞台の様相を呈している、誰もいない柔道場を見るために、

 

ロビーの際まで歩みを進めた。舞台…、舞台の様相を呈している、誰もいない柔道場…その柔道場の際に最も近い場所に

 

僕は立った。そのまま、立ち続けて、誰もいない柔道場を僕は見つめ続けた。

 

 

僕は、誰もいない柔道場を見つめ続けた。

 

駐車場に停めた車の中から

 

武道館の中のロビーのベンチから、『缶コーヒー』を啜りながら、

 

そして…

 

誰もいない柔道場に、最も近い場所から

 

 

僕が見ている誰もいない柔道場の景色に、僕の、

 

『(多くの人達と共に積んだ)稽古』

 

という名の記憶が重なる。

 

 

その人に出会ってから2年が経過していた。当初は、全く、歯が立たなかった。それでも、少しづつ稽古を積み、ようやく、

 

自分の技と呼べるものが獲得出来てきた。僕の場合、その技は

 

『(身を捨てて技を仕掛ける)巴投げ』

 

になる。とにかく、まだ、技としては完璧ではなかった。でも…自分の技で、そして、人から教わり『僕が取った』方法で

 

初めて、その人を、自分が仕掛けた技で投げることが出来た。…

 

次の瞬間、その人は立ち上がり、僕が見たこともないニタニタした笑みを、僕に見せていた。

 

「(???)」

 

乱取りの稽古が再開し互いに組み合った次の瞬間に…あっという間に僕は、その人に投げ返された。右組の状態の右腕は

 

釣り手をとっている状態での、左の一本背負い投げである。おまけに、文句なしの本当の一本のレベルである。

 

僕の背中を畳に叩きつけられるかのように、僕は、その人に投げられた。

 

『試合』ならば、間違いなく、ここで終わる。『一本』なのだから。なので…

 

「…今日は…ありがとうございました。」

 

と僕が言ったら…その人は…やはり、先程と同じようなニタニタした笑みを、僕に見せ、そして言った。

 

「takumaroさん…もう一丁!!!」

 

ある意味、『稽古』の凄まじさ、恐ろしさ、である。この後、僕は更に、一本のレベルの技を、その人から3度も喰らった。

 

その人との乱取りが終わったのは、稽古の終了時間が来たからである。その時は、結局、稽古の終了時間まで、

 

その人との立ち技の乱取りを僕は続けた。なんだかんだと言っても…僕も負けず嫌いな処もあった。

 

 

「『試合』だと…そこで終わりだけれどな…いや…本当にあの時の『稽古』は…」

 

僕の口から、独り言が零れた。僕の独り言に対して…あいつがツッコミを入れた。

 

「今日は…中へ入らないのか…?」

 

僕は『あいつ』へ返した。

 

「今日は…止めておく。今日は『見取稽古』にまで、留めておく。」

 

あいつが、僕に親指を立てて見せて笑った。それから、あいつは、『件の親父(くだんのおっさん)』の真似をして…

 

「『常住坐臥』…何時でも…何処でも…『稽古』である。」

 

と…改めて僕にツッコミを入れた。僕は、あいつに笑みを見せて一言、言った。

 

「解っている!!!」

 

今度は、あいつが僕に笑みを見せて一言、言った。

 

「さすが!!!『全日本柔道「形」演武選士』!!!』

 

誰もいない柔道場を見つめ続けながら、僕は思っていた。

 

 

何気ないセリフ

 

何気ない言葉

 

それらに依って、こうして景色が刻まれていくのだと。

 

あいつが放つ、何気ないセリフ、何気ない言葉、これらを裏付けるだけの『稽古(経験)』も、

 

また、僕は積んできたのだと。

 

 

ふと気づき、携帯で時間を確認する。武道館が閉館する15分前の時間だった。

 

改めて、僕は独り呟いた。

 

「…帰るか…」

 

目の前の誰もいない空間で、誰もいない柔道場で、『陽炎(達)』の演舞は続いていたのだが、

 

僕は、その誰もいない空間を、誰もいない柔道場を後にし、家路に着こうとした。

 

「このまま…帰っていいのか…?」

 

あいつの気の利いた一言で、僕は気付いた。

 

先程、時間を確認するために取り出した携帯を、改めてポケットから取り出した。そして、

 

僕は、目の前の『景色』を記録した。

 

 

 

 

 

takumaroはこれからも往く!

 

takumaroは今日も往く! 

 

『枕』…ではなく…『あとがき』…!?

 

『何物にも毒されない空間』を確保するために、また、僕自身の『描く』鍛錬の場として、

 

そして、僕自身が(僕だけが)上がる『舞台』として、この場所を、僕は確保している。この場所を知っている人は、

 

僕の知り合いの中にもいる。

 

 

 

 

「ブログ見ていますよ…最近は…更新していないですね…」

 

この方は、柔道関係者である。

 

「いや~ハハハ…」

 

笑って、取り敢えず胡麻化すが…変な僕の意地が、こういう時に作用してしまう。

 

この時の相手が柔道関係者だったこともある。そして…

 

「解りました…じゃあ…今度は…『柔道のお話』でも描きますよ!!!」

 

「えっつ!?本当ですか?じゃあ…楽しみにしています!!!」

 

「(おいおい…どうするんだ?)」

 

やっと…今…その責任から解放された。

 

 

言い訳をするのは、良くないのだが…中々、まとまった描くための時間の確保が出来なかった。

 

僕自身の『稽古』という総体に対する、一つの客観的な成果を得て、何年かぶりの高揚感を僕が得てしまったこともある。

 

そして…このような高揚感を得た代償として、相応の休養を余儀なくしてしまうこともある。実際には、休養では済まない。

 

僕の場合は、高揚感を得た代償として、身体を壊していることが多い。実際に、僕の感覚として、僕は、

 

かつて数学の論文を描いていた時と同じようにして、身体を壊していた。

 

あくまで…僕の感覚としてである。休養を取らざるを得ないし、取らなければ寿命を縮める。

 

ああ…ちなみに…今回のお話(物語、作品)の中で、あいつの放つセリフ…

 

「『常住坐臥』…何時でも…何処でも…『稽古』である。」

 

これと同等の経験は、先に、数学において僕は経験済みである。今年は、これを柔道でも改めてやってしまった。

 

ここまでは、僕の内側の話になる。僕が、僕の外側の話をすると…

 

「やっぱり『政治家』大嫌いでしょ!!!」

 

とか

 

「左翼的な事ばかり言っていると…ツルハシを持った人がやって来て車のフロントガラス割られますよ!!!」

 

というツッコミを入れられそうなので、今回は一切しない。

 

僕は、どうにも外側の空気には馴染めそうにない。それでも、否が応でも外側の空気を吸うことはあるのだが…

 

 

お話を、今回のに、改めて合わせる。僕は、やたら『』を使ってしまう。…其処には、相応の凝縮された意味がある。

 

本当は、読者にこういう能力を求めるのは、僕の『描く』鍛錬不足かもしれないのだが…話を続ける。

 

例えば…

 

『大馬鹿』:

(意味)あるときは、物凄い神経質であり、また、あるときは、物凄い短気である。そして、なにかと、

特質のある言葉を駆使して棘のある表現をしてしまう、ある特異な個人の個性。

 

となり、他には

 

『稽古』:

(読み方)文中の前後から、ケイコ(稽古)と読む。キオク(記憶)と読む。ケイケン(経験)と読む。

など…様々な読み方がある。

 

となる。と、このように僕が描くと…あなたに、ツッコミを入れられそうだ…

 

「ねえねえ…じゃあ…『政治家』ってどんな意味になるの?どんな読み方になるの?」

 

今回はしない。ただ…わかるとは思う。僕は、政治家ではなく、『政治家』と描いている。

 

さて…オリンピック出場者の事を、オリンピアンと呼び、さらには、メダル受賞者をメダリストなどと呼んだりする。

 

このような、慣習の準えて…なんかうまい表現がないのかな…と模索していたら…あいつが巧い表現を与えた。

 

『全日本柔道「形」演武選士』(リンクを張った。リンクを叩くと、向こう側で実際の言葉の意味する動画が見れる。)

 

まあ…確かに、相応の成果は得た。高揚感も得た。だから…身体を壊したこともあり…

 

 

いや…ブログが更新できなかった言い訳は、ここで止めておこう。

 

とにかく、また、こうして描き遺すことが出来た。

 

なので…久々に…こういった種の、また別の高揚感を今味わっている。

 

身体を壊さない程度の高揚感を感じつつ

 

僕の近況報告と、どさくさに紛れて言い訳をしっかりとしつつ

 

takumaroは今日も往く!

 

2022.09.13.記

 

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