此処に、世界の『特異点』があり…
不思議な写真が撮れたとも思う。
何重もの特異な現象が、此処で結びついている。
具体的に言えば
1つ目は、『天』と『地』
2つ目は、『光』と『闇』
ここまでは、写真その物に現れている事。でも、これを撮影した僕の立場からはもう一つある。
時間軸を基準として、ある時間を、あるいは、ある瞬間を、点と捉えた時の…
3つめ、『前(その事が起きる)』と『後(その事が起きる)』
…
でも、よく考えて見て、さらに観察をしてみれば、ある『現象』に対しては、このような事は、よくあるのだろうか…
例えば…『オリンピックなどの』金メダルを取った後と、前、…
当然、『天』と『地』の開きを感じるだろうし…
また、自身の中で、確実に『明』と『暗』を感じるのだろう…
…
今、解り易く、僕は、描いたから、『オリンピックでの』『金メダル』と大げさにしなくても、
このような意味での3重の分岐点(数学上の特異点)は、何度もその人に(あなたや僕などに)訪れるのだろうか
…
「嫌だな~」
とつくづく思う。
周りは、勝手にざわつき出す。そして、自身の心の中でも、確実に『明』と『暗』の2つの世界を垣間見る。
そして、基本となる時間軸の中で、その事が起きる『前』と『後』の世界がある。
…
僕らが出来る事は
その事が起きる『前』に、どれだけの、自分が出来る事をやったのか
そして、
その事が起きた『後』に(も)、どれだけの、自分が出来る事を続けて往けるのか
成程な…と改めて思う。
此処に、『道』がある。
…
ある柔道の大会に出場した。出場するという事は、当然、それだけの事をやった。
久々に…大学院生時代の修士論文を書くことと、同じレベルの『精神統一』をした。そして、身体を壊した。
簡単に言えば、『精神統一』なのだが、このような技術は、誰もが持っている物なのか?
僕には、解らない。ただ…何人かの人は保持はしているようだ。
僕も、色々と警告はされた。
…
「『精神統一』は、ほどほどにしないと早死にするよ!」
…
大学院時代に、何度もやってしまったので、『精神統一』の使い方はある程度抑えては来た。
いや…『精神統一』すら、忘れかけていたのかな…
この『精神統一』という技術は、数学の研究の中で、培って獲た技術になる。
今回は、柔道に於いて、この『精神統一』という技術を用いた。
技術を用いたというか…大会が終わってからの、身体の壊れ方や、
大会に向けての稽古の取り組み方を、振り返って考えて見て、僕の昔を思い出した。
…
『天』と『地』、『明』と『暗』、『前(まえ)』と『後(あと)』
…
時間軸で捉えれば、結果がある。確かに、『前』と『後』がある。
『天』と『地』、『明』と『暗』、どちらとも言えない、『オチ』が今回は付いた。
それでも、僕は、考え続けて、そして、観察を続けて、改めて、道に気付いた。
…
僕らが出来る事は
その事が起きる『前』に、どれだけの、自分が出来る事をやったのか
そして、
その事が起きた『後』に(も)、どれだけの、自分が出来る事を続けて往けるのか
…
日々の稽古の中で…
柔道の形の稽古に、中学生のS君がやって来た。諸事情により(大会に出場する先生達、合宿に参加している先生達、など)、
僕が、そのS君の形の稽古を見る事になった。他の子供達に、それぞれ『受け』と、『取り』をやってもらい、最後に、
僕が『受け』を務めて、中学生のS君は通しで3回の『投の形(9本目まで)』の稽古が出来た。稽古の後に、僕は聞いた。
…
「これまでに、何勝したの?」
「…4勝しました。」
「そうか…あと1つ勝てば決まりだね…」
この県の(初段)昇段審査では、試合に於いて通算で5勝を収めれば、形の審査を受ける資格が獲られる。というか…
このS君は、そもそも、昇段審査を1回で合格してもおかしくない逸材である。この地区の大会にも出場し、其処で、
準優勝もしている。遠巻きに、S君の動きを何度か見てはいる。
「何でかな…?」
僕が感じる素朴な疑問だった。声にも出てしまっていた。S君が、これに応えた。
「どうも…あの武道館の紅白の紐で仕切られた、試合場だと、変に『緊張』するんです。」
これに、僕は、直ぐに返した。
「えっつ?でも、この前の大会なんかは、遠巻きにしか、僕は見ていないけれど、ちゃんと動けていたよ…ベスト4だっけ?」
「いえ…決勝戦で負けました。」
「大きい子だったよね…M道場の…」
「はい!」
「あれが、決勝戦だったのか…ていう事は、準優勝でしょ…なんでかな…」
「此処は、『緊張』しないんです。」
「う~ん~」
柔道でも、ホーム&アウェイなんかあるのか…
取り敢えず、僕は僕の方法で、柔道の試合における、僕なりの『緊張』の取り方をS君に教えた。
『緊張』というよりは、『緊張』から『身体が固くなる』事が試合に負ける原因なのだろうから、
この『身体の固さ』の確認と、『身体の固さ』を少し減らす方法を簡単に教えた。一通り教えた後で…
S君に、僕は『愚痴』を言った。
…
「S君は…あと1つ勝てば決まりだよね…」
「はい!」
「『イベント』があるとさ…周りは勝手にざわつくでしょ…勝ったとしても…負けたとしても…特に大人が…」
「…」
「答えずらい質問か…」
「いえ…その通りかも…」
「おまけにさ…違う意味で、周りとは違う意味で、自分もざわつくでしょ…」
「はい!」
「結局の処…『前の世界』と『後の世界』…出来る事は、稽古だけだよね…」
「はい…」
「結果に関係なく、地道に稽古を積む、それだけだよね…」
「はい…」
「結果に関係なく、地道に稽古を積む…これは、S君からすると、『お説教』かもしれないけれども、そもそも、『説教』とは自分に言い聞かせる物だから、というのは、僕自身も、色々と確認をしたいからね…ああ…説教とは自分に言い聞かせる物と、僕に教えたのは、大学院時代の僕の先輩。ああ…要は、僕も稽古中の身なので。」
「…」
「まあ、お互いに、地道に稽古を積んで行きましょう。稽古を積む事は『いつでも』出来る事だからね…」
「はい!」
「僕は、たまに、訳の分からない『お話』を今回みたいに、する事があるけれど、今後も変わらずにお付き合いを下さい。」
そう言って、いつものように一礼をして、僕は、僕自身の『愚痴』を締めくくった。
S君は、何を堪えていたのか、笑いをこぼしながらも…
「いえ…こちらこそ、ありがとうございました。また、『お話』を聞かせて下さい。」
「(珍しい事もあるんだな…)」
…
先人の教えを思い出しつつ(~日本人の心の言葉~空海~より)
日本人心の言葉「空海」
著者:村上 保壽
創元社(2009)
から
(p68から)
智鏡心に処すれども、縁なくばすなわち利物の力を欠く。
ゆえによく石を長時にうすくみがいて、六度の行を積み、
ケイを永歳にツイヤして
万行の因を蘊む。
(p78から)
物の興廃は必ず人による。
人の昇沈は定めて道なり。
大海は衆流によってもって深きことを致し
蘇迷は積塵を待って(周山に超え)
もって高きことを成す。
(昔、行き過ぎた趣味で読んでいたある本の内容を思い出し、今回のお話と関連する部分を上記に引用した。)
takumaroは今日も往く!