昨日の稽古では…
どうも…参段に昇段をしてから、以前のような稽古が出来なくなっている。なによりも、以前のような『無理』はしなくなった。それに、今は立場上、怪我や風邪で稽古を休むなどもってのほかである。少なくとも、柔道クラブの方では、
僕は先生なのだから…
そうすると…僕自身の稽古は、柔道教室の方で、ある程度の事をしていくしかない。が、しかし…なんだろうか…
この『気の抜けた感』…前にもまして、怪我や稽古で身体を痛める事に物凄く臆病になっている。しかも、
柔道教室の方でも、正式な先生ではないのだが、人に教える機会が増え(人から聞かれる事が多いからというのもある)、
僕自身のための稽古が後回しになっている。
青痣をつくってでも、稽古を積むことを意識しているハンバーグ師匠Kさんとは、えらい違いである。
「なんかな~」
『鍛錬』の『錬』をどう自身の中で進めて行くのか…漠然とした目的意識はある。でも、実際には
『人には出来ない技』がどんどん増える一方である。ああ…勿論、ここに描く事もしない。馬鹿や悪党が真似をするから。
というか…改めて柔道がスポーツではなく、武道であり、そして、その技はやはり危険な物だと改めて思う。
稽古をしていれば、さらには、続けていれば確実に誰もが、柔道に於いて相応の技術を様々な『形』で会得していく。
稽古を続けていれば、誰もが巧くなっていく。続けてさえいれば…
昨日の稽古では、C君(中学3年生)の子と立ち技の乱取り4分を2本連続でした。
「巧くなったよな…」
改めて思う。今は、C君は初段である。稽古をしながら、本気で攻めさせながら色々な事を教えた事もあった。
…
「C君…試しに、強く握っていて、組み手を切られないぐらいに…」
C君に相手の組み手の切り方の1つを教えたのだが、実際に僕はやってみせて…
「痛い!!!」
「痛いでしょ!解った?伝わった。」
「ハイ!」
「一応、細かく説明をするな。」
まあ、体捌きと連動させた組み手の切り方の技術の一つを僕はC君に教えた。
その時に教えた技術をC君は昨日、見事に体現をしてみせた。
「バチ!!!」
引き手が切られた、かなり良い音がした。その時に
「巧くなったよな…」
と感じたのだが、僕も夢中になっていて直ぐには気付かなかった。僕自身が鈍感なのもある。乱取りを続けて組み手争いを
しながら、C君の襟、釣り手を取ろうとしたら、其処が赤くなっている事に気付いた。
「うん…!?」
一度、C君から離れて、自分の手を確認する。しっかりと、爪が剥がれていた。勿論、大げさな程ではない。
まあ、柔道の稽古を真面目に取り組んでいる、顧問の先生から怒鳴られながらも、真剣に稽古に取り組んでいる
高校生や中学生の柔道家ならば、よくある事である。しっかりと、血もにじみ出てるレベルのあれである。
まあ、とにかく僕は久々に爪をはがした。
「(あたたたた…)」
其処で、1本目の終了のブザーが鳴ったのだが、まさかのC君からの
「続けて、お願いしていいですか?」
「(う~ん~)」
でも、こういう流れは大事にしてあげたい。
「やるか!」
結局、そのままC君には黙って2本目に突入をした。
2本目の乱取りが終わって、互いに礼をしてから、C君に一言…
「すまん!勘弁な!道着を汚した。」
「えっつ?」
指で、僕はC君の襟を指した。
「ああ…全然平気です。というか…大丈夫ですか?」
「ただでさえ、『不器用』なのに、さらに『鈍感』にもなったのかな…」
自分の手を見つめながらC君の質問に回答したつもりだったのだが、たまに僕が発する『独り言』が出てしまい
C君は笑っていた。
この日は、Kさん(大人の人)とも乱取りをしたのだが、このKさんは、本当に組み手が巧い。
「(釣り手の操作をどう阻止するか…)」
等と考えていたら、本当に巧い体捌きだったな…見事に内股で持って行かれた。
これで、僕のスイッチが入ってしまったのか…この後の乱取りの途中、
Kさんの大内刈り…あれをまともに踏ん張って受けてしまった。
多分、自分から飛んで受け身を取るべきレベルの技だったと思う。残った軸足の右膝に
「ピキー!」
と来てしまった。幸い、大事には至らなかったようだ。今、痛みを感じる事なく歩くことが出来ているから大丈夫だとは
思っているのだが…
『気の抜けた感』
をもろに感じつつ、それでも柔道の稽古を積んでいる。が、昨日は久々に
『痛い!!!』
思いをした。ブラス、時に『鈍感』な自分も確認をした。
「なんとかしないとな…」
とは感じている。のだが…どうも…
「takumaroさんは、最近は稽古をサボっているからな…」
『ちゃらんぽらんYさん』にも、度々、ツッコまれてもいる。
長く一緒に稽古を続けている人達からすると、余計に感じるのだと思う。多分、見て明らかなんだろう。
勿論、僕自身もそれは感じているのだが…
稽古の後は、仮眠して、その後、朝の配達…そして、仕事が終わった後に…
梅雨も明けたのか、配達中の今日の天気は、凄く良かった。月が出ていて、
『じっと、こちらを見ているように』
感じた。空気も澄んでいるように感じた。まあ…空想家、妄想家としてのtakumaroの見解を述べだすと収拾がつかなくなる。
それらは、機会を改めるとして…
まあ…とにかく、天気も良い。空気も澄んでいる。空が、いい感じで暁色にになり、そして、僕の朝の配達も終わった。
普段は、数時間前の稽古の疲労を感じるものなのだが、更に、昨日の稽古からすると『痛み』も感じるはずなのだが、
今日はそれも無かった。
「アイスでも食べてから、帰るか…」
帰路の途中にあるセブンイレブンによって、『ガリガリ君ソーダ味』を買って、それを頬張る。
「う~ん~」
味がいいのか、頭が、
「きい~ん~」
となる事に僕がハマったのか、毎日ではないのだが、最近は、確かに『ガリガリ君ソーダ味』を頬張る機会が増えた。
で、こう言った楽しい時間や、優雅なひと時というのは、本人には短く感じるものである。
最後の『ガリガリ君』の一口を、口に入れ
「ご馳走様でした!」
と一人呟き、改めてそのスティックを見つめる。まあ…ここ最近の僕の儀式の一つである。
すると…
「うん?」
何が、起きたのか良く解らなかった。天気も良い、空も暁色で、まだ月も
『じっと、こちらを見ている。』
空気も澄んでいて…空を見て、月を見て、空気を感じ、そして、再びスティックを見て、また、空を見て…
『鈍感』
状況が良く解らなかった。5分から10分位だろうか…最後は、ずっと月を見つめていた。で、ようやく
状況を確認する方法に気付き、再び、セブンイレブンの店内に入っていく。店員さんはパンの仕分けを協力して
している真っ最中だった。
「スイマセン…」
「はい?」
「これって…『当たり』ですか?」
店員さんにスティックを渡して見せる。
「ああ!『当たり』ですよ!!交換しますか?」
「いやいや…またの機会にします。優雅なひと時は…」
店員さんは笑っていた。さらに…正直に僕は告白もした。
「『ガリガリ君』って当たりくじ付きだったんですね…知らなかった…」
「結構な確率で『当たり』が出るみたいですよ!」
「へえ~(本当か…?結構、僕は買っていたぞ…)」
とにかく、状況の確認は出来た。
「仕事中、ありがとうございました。お陰様で『状況』が確認出来ました。次回の時に使うかな…」
「どうぞ!また、いらして下さい!」
店外に出て、再び月を見る。で、改めて素朴な疑問を感じてしまう。
…
「結構な確率で『当たり』が出るみたいですよ!」
「へえ~(本当か…?結構、僕は買っていたぞ…)」
…
「運が良いと言えるのか?」
スティックを見つめながら、このスティックがなんか『ガリガリ君』よりも価値があるような気もしてくる。
「記念に取って置くか?」
で、月を見つめながら、何となく僕は納得をした。
…
「そうか…昨日の稽古で『痛い』思いをしたからか…」
それもあると思う。でも、多分…
『不器用で鈍感な漢(おとこ)への、何者かからの贈り物』
そういう事なんだろう。確かに今日は、何者かに僕はじっと見られていた。
あなたにも『納得できる説明』になっている事を祈りつつ…
「あの人達よりは、『納得できる説明』をしているでしょ!」
とは僕は思っているのだが…
takumaroは今日も往く!